2019.04.17

これ、乗車拒否じゃないんです!理解しておきたいタクシーの乗車禁止ルール&マナー5つ

これ、乗車拒否じゃないんです!理解しておきたいタクシーの乗車禁止ルール&マナー5つ

タクシーに乗車したい意思を示している人に対して、乗務員が正当な理由なく拒否することは、「乗車拒否の禁止」として、「旅客自動車運送事業運輸規則」や「道路運送法」といったタクシーのルールを定めた法律で禁止されています。

しかし、乗車の意思に応えない場合でも乗車拒否にあたらないケースがあります。そうしたルールをしっかり理解しておくことで、臨機応変にスマートにタクシーを利用することができます。

1. 迎車中または回送中

後部座席にも助手席にも誰もおらず、一見、空車のタクシーのように思われたとしても、迎車に向かっている途中のタクシーや、営業所へ戻る途中のタクシーではお客さんを乗せることはできません。

乗ることができる車両なのか、そうでないかを見分けるにはスーパーサインを確認します。スーパーサインとは、助手席前方に取り付けてある表示板のことです。

タクシーのスーパーサイン。空車の時に乗ることができる。
助手席の前方に設置してあるスーパーサイン。通常、「空車」の場合に乗車することができます。

乗車できる状態のタクシーのスーパーサインには「空車」という表示がされています。一方で、たとえお客さんを乗せていなくても乗ることができない状態のタクシーは「迎車」「回送(帰庫に向かう)」といった文言が表示されています。

2.営業区域外

タクシーの営業区域は各地方運輸局ごとに定められており、全ての全てのタクシー会社は、それぞれの営業所が所在する営業区域に属しています。

タクシー事業者は、1運行の出発地または目的地どちらかが自社が属する営業区域でなければ運行することができません

東京都の場合は下記の5つの区分に営業区域が分けられており、同じ東京都の事業者であっても、特別区・武三交通圏に属する事業者のタクシーが北多摩交通圏と南多摩交通圏の間を運行することはできないのです。

  • 特別区・武三交通圏
  • 東京23区・武蔵野市・三鷹市
  • 北多摩交通圏
  • 立川市・府中市・国立市・調布市・狛江市・小金井市・国分寺市・小平市・西東京市・昭島市・東大和市・武蔵村山市・東村山市・清瀬市・東久留米市
  • 南多摩交通圏
  • 八王子市・日野市・多摩市・稲城市・町田市
  • 西多摩交通圏
  • 青梅市・福生市・あきる野市・羽村市・西多摩郡
  • 島地区
  • 東京都島嶼部

特別区・武三交通圏で営業するJ交通というタクシー事業者があったとします。J交通が、世田谷区から渋谷区まで運行することは、どちらも営業区域内なのでもちろん可能です。また、世田谷区から区域外の調布市まで運行したり、反対に調布市から世田谷区まで運行することも、発着地いずれかが営業区域内に含まれるため問題ありません。しかし、調布市から狛江市までの運行を依頼された場合、その発着地はどちらも営業区域に属さないため、運行することはできないのです。

タクシーの営業区域イメージ図。特別区・武三交通圏の場合
営業区域イメージ図

3.乗車禁止エリア

タクシー業務適正化特別措置法により定められた一部の地区では、タクシーの営業が制限されています。場所により、空車のタクシーが乗り入れることができない「入構禁止」、入構の方向が指定されている「入路指定」、車を停車させて乗客を待つことができない「客待ち禁止」など、場所により規定されています。

特に、東京の銀座・新橋エリアが有名ですが、この地域では土曜日・日曜日・祝日及び休日を除く日の午後10時から翌午前1時までの夜間、タクシー乗り場以外でタクシーに乗車することが禁止されています。(終日乗車禁止となるエリアもあります)

そのため、夜間の銀座のような入構禁止エリアで、目の前で乗客が降りて空車に切り替わったタクシーがあったとしても、その車両に即時に乗ることはできないのです。

4.乗り場の秩序を守るため

例えば、駅前でタクシー乗り場に並ばずに乗り場の手前で乗ろうとしたり、乗り場の近くでお客さんを下ろしたばかりのタクシーに乗ろうとするとき、マナーや交通安全上の理由で、乗り場のタクシーに乗車するように依頼されるケースもあります。

この場合、法律上明確なルールが存在するわけではありませんが、特にバスや一般車、それに歩行者も多いような駅で無秩序にタクシーの乗り合いが起こってしまうと、混雑を招くだけでなく交通安全上問題が発生してしまう恐れがあります。

並んでいた側からしても、手前でタクシーを捕まえられて乗られてしまうのは決していい気分ではありませんし、快適な交通ルールを守るためにもしっかりとマナーは守りたいものです。

5.乗車させることができない状況

その他、定員以上で乗車しようとしたり、意思の疎通が難しいほど泥酔しているなど、安全な運行の阻害になると判断された場合や、止むを得ない事由が生じた場合、乗務員は乗車を断る場合があります。

まとめ

あまりタクシーに馴染みのない方にとってはタクシーのルールはやや複雑に映るかもしれません。しかし、都市部を中心に高まる需要に対して、効率的に、そして安全に営業を行うには一定のルールは欠かせません。そうしたルールを理解し受け入れてこそ、スマートにタクシーが利用できるようになるのかもしれませんね。