タクシーとハイヤーの違いってなんだろう? 利用シーン・サービス・料金で比較しながら学ぼう
みなさんはタクシーとハイヤーの違いをご存知ですか?
街中でよく目にする黒や白、黄色、緑などのカラフルなタクシーは馴染みがある一方で、ハイヤーはなんとなく「高級」なイメージがあるけれど具体的にはよくわからない‥という方が多いのではないでしょうか?
ハイヤーは知れば知るほど奥の深い魅力的な乗り物。今回はそんなハイヤーについて、タクシーと比較しながら一緒に学んでいきましょう。

タクシーに似たサービスだったけど、なんだかすごくピカピカの高級車な上に、行灯(※1)やスーパーサイン(※2)はなかったな〜。あれは何だろう?
※1 行灯(あんどん)…タクシーの屋根の上についているライトで、通常各社のマークが描かれている。
※2 スーパーサイン…タクシーのボンネットに設置してある展示灯。「迎車」「賃走」「回送」など走行中のタクシーの営業状態を示す。

タクシーと同じく、お客様を乗せて目的地までお送りする、という部分では共通しているけれど、利用者層や料金体系、サービスなどが通常のタクシーと異なっていて、区別されているよ。


ハイヤーはどういう乗り物?



一方で、ハイヤーはタクシーとは異なり基本的に 完全予約制。タクシーのように街中で拾って乗ることはできないから、お客さんを乗せてないときに流し営業をすることはないよ。営業所から出発(出庫)し、お客様を乗せて目的地まで送り届け、営業所に帰る(帰庫)するのが一般的な流れなんだ。


もう少し踏み込んで知りたい場合は、下記のコラムを読んでみてね。
一口にハイヤーと言っても2種類!都市型ハイヤーとその他ハイヤー
都市型ハイヤーは、平成26年(2013年)の国土交通省の告示を以って設けられた新しいハイヤーの区分です。都市型の通称の通り、認可を受けた事業者は都市部の特定の地域のみで運行することができます。
実は、都市部ではハイヤーを含むタクシーの新規参入や増車が禁止・許可制となっており、その運行できる台数は法律により厳しく制限されております。
これはタクシー運転手が増えすぎることで収入水準が低くなりすぎることを防ぐ目的があります。かつてのリーマンショックの時期などは、実際のタクシー需要に反して、タクシーが溢れかえっている供給過多の状態が出てきてしまい、運転手たちの賃金が著しく低下してしまうことが実際にありました。さらに、少ないお客さんを取り合って無茶な運転をした結果事故が多発する、という自体に繋がるケースも増えました。こうした事態を受け、市場の需要以上にタクシーが増えすぎないように制限されることとなったのです。
ところが、2010年代に入ってくると円安が進んだことで、特に中国圏からの訪日観光客が都市部に増え始め、今度はタクシーやハイヤーが不足していきます。
景気低迷期とは反対に、「需要があるのにタクシーが足りない」状況に陥り、認可を受けていない非合法な白タクがはびこる事態となりました。
そうした都市部のインバウンド特需によるタクシー・ハイヤー不足といった社会問題を解決するために設けられたのが、「都市型ハイヤー」です。都市型ハイヤーは、前述のような新規参入や増車禁止といった制限を受けないため、都市部でも許可を得れば新たに営業することができますし、元々のハイヤーやタクシーを運行していた事業者も同様に都市型ハイヤーを増車することができるようになります。
よって、都市型ハイヤーは車両不足が起こっている都市部(法律では「特定地域」「準特定地域」と区分されている地域)でのみ適用される仕組みなのです。なので、現時点で発生している需要は主にある程度長時間の利用ということになるため、都市型ハイヤーは、「2時間以上」の時間単位で専属契約をする、という制限があるのです。単純な移動などのユースケースは想定されておらず、従来のタクシー・ハイヤーとは競合しないものとされているので、新規参入ができるものとなっています。
「その他ハイヤー」は都市型ハイヤー以外のハイヤーを指すので、ユースケースは多岐に渡ります。毎日の役員の送迎などは、通常2時間未満でしょうから、その他ハイヤーによる運行となります。このようにユースケースとしては、タクシーと層は違っても利用シーンがやや重なるため、タクシーと並んで新規参入が規制されます。
なお、「その他ハイヤー」も「都市型ハイヤー」も完全予約制で、個別輸送機関である、という点では共通しています。
ハイヤーとタクシーの利用シーンの違いは?


これはタクシーが公共交通機関と呼ばれるのに対し、ハイヤーが 個別輸送機関だからなんだ。

ハイヤーとタクシーの利用シーンの違い まとめ
ハイヤー | タクシー |
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個別輸送機関として、エグゼクティブ層の利用が中心で、オフィシャルなシーンでの利用が多くなっています。2時間以上の制限を受ける都市型ハイヤーの場合は、観光ツアーに使われる場合もあります。
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公共交通機関として、プライベートの気軽な用途からビジネスシーンまで幅広い移動ニーズに対応しています。
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ハイヤーとタクシーのサービスの違いは?



ハイヤーとタクシーのサービスの違い まとめ
ハイヤー | タクシー |
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ハイヤーの場合、勤続年数がある程度長く、また厳しい試験に合格した乗務員のみがハイヤーを運転しています。さらに、ワンランク上のおもてなしをするため、英会話などの特別な教育を受けた乗務員がサービスを提供するケースもあり、会社役員や海外VIPといったエグゼクティブ層をおもてなしする専任部隊といったイメージです。 |
タクシーにおけるサービスは地域、会社ごとに多岐にわたるが、乗務員は新卒や異業種からの転向であっても数日〜数週間ほどの研修を受け現場に出ることが多いです。 有資格者による観光タクシーや福祉タクシーなど会社としてオフィシャルに提供しているサービスもあれば、乗務員が個別にユニークなサービスを提供することもあります。 |
ハイヤーとタクシーの車種の違いは?



一方でハイヤーはやっぱりハイエンドな車種が選ばれる。さらに行灯やスーパーサインと言ったいわゆる タクシーの特徴となっているようなものは取り付けられていないんだ。運賃が表示されるメーターも極力目立たないように設置されているケースがほとんど。そうすることで高級なイメージを守っているんだ。

ハイヤーとタクシーの車種の違い まとめ
ハイヤー | タクシー |
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エグゼクティブ層向けのハイヤーの場合は国産外国産を問わず、高級車を利用することが多く、比較的大人数を乗せて運行する場合に備え、ミニバンの上位グレード車両を保有していることもあります。 |
タクシーはおなじみのセダンタイプをはじめ、ハイブリッド車や大型のミニバン車両など、各タクシー会社が様々なニーズに対応した車両を保有しています。 最近では、東京都内を中心にユニバーサルデザインのトヨタ・ジャパンタクシー車両も増えています。 個人タクシーの場合は、高級車やスポーツカーを利用している場合もあるが、行灯の設置などが義務付けされているため、その台数は少ないようです。 |
ハイヤーとタクシーの料金の違い




まず契約方法で言うと、大きく分けて、単発の スポット契約か、月極めなどの 長期契約かに分かれるんだ。長期の場合は、通常スポットよりも割安で運賃が設定されていることが多い。
ただし、スポットであれ長期であれ、運賃は乗車した際の時間または距離に応じて計算されるんだ。運賃については、タクシーと同じように、各地域(全国98に分けられた「運賃ブロック」という地域区分ごとに決まっているよ)ごとに設定できる幅が決まっていて、それに応じて設定した運賃が認可されることで、はじめてその運賃で営業ができるようになるよ。
加えて、タクシーと異なる点で言うと、運賃の加算が始まるのが営業所という点。タクシーの場合は、お客さんを乗せて目的地で降ろすまでが運賃の対象になるけれど、ハイヤーの場合は営業所を出て営業所に帰ってくるまでが運賃対象。だから、 タクシーのように予約料金や迎車料金といった料金概念はないんだ。


ハイヤーの場合もタクシーと同様に乗車ごとに支払いをすることが可能だけど、ハイヤーだけの特別な違いとしては、 請求書による後払いに対応している点かな。

ハイヤーとタクシーの料金の違い まとめ
ハイヤー | タクシー |
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ハイヤーの場合は、大きく分けて
運賃は時間制または距離制がとられており、各地域のタクシーの運賃を下限とした公定幅運賃の制度が適用されています。 |
タクシーは各地域ごとに運賃幅が決まっており、その範囲内でのみ運賃を設定されています。タクシーは基本的な運賃のほか、地域によって下記のような料金が別途加算されることがあります。
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まとめ

